
グループホームとは直訳すると集団での家庭生活といった感じになるわけですが、日本では認知症の人を対象とし、比較的少人数の集団生活で介護サービスを提供する施設のことを指す場合が多いです。
より正確には、認知症対応型共同生活介護のように呼ばれたりすることもあります。
グループホーム本来の意味について
確かにこのようなタイプの施設の代名詞となってしまってはいるものの、本来の意味は決して認知症に特化しているわけではなく、単に高齢で介護を必要とする人の他、精神障害とか知的障害を有している人が対象になることもあります。
そのため、年齢も別に高齢者だけに限られるわけではなく若い人もいますし、場合によっては様々な理由で親と同居することができないけれども、介護を必要とする疾患や障害を持つ子供が含まれるケースもあり得ます。
ただし日本の認知症対応型共同生活介護では、65歳以上の高齢者で認知症の診断を受けており、かつ要支援2以上の認定を受けていることが入居の条件となっています。
グループホームで生活するメリット
グループホームで生活するメリットですが、やはり最も大きいのは専門スタッフの介護を受けられることにあります。
家族では必ずしも適切な介護ができるわけではなく、軋轢を生じてしまったり病状を進行させてしまうとか、場合によっては介護に疲れて家族までおかしくなってしまうということもあり得るわけですから、専門家のサポートを受けられるメリットは大きいです。
そして、集団生活とはいえ比較的少人数ですので、落ち着いた雰囲気で周囲の人との関係を構築しやすいことも挙げられます。
認知症を発症した人は決して全ての物事が一切できなくなってしまうわけではなく、例えば若い頃に得意としていたこととか、あるいは発症前までは日常生活の中でごく普通に行っていたことなどは継続してできることが多いです。
呆けてしまっているから危険なので何もさせないでおこうとすると、より一層症状が進行してしまうことも十分にあり得ますが、集団生活の中で自分にできることをしてもらい、求められる役割を果たすことで本人らしい生活を送ることができるようになります。
例えば食事の用意とか片づけ、掃除、洗濯といったことが含まれます。
集団での生活ではありますが居室は個室ですのでプライバシーは保たれます。
また、原則は住民票のある地域にしか入居できませんが、これは言い替えれば住み慣れた地域での生活を継続できるということでもあります。
施設が遠方にしかないから今まで住み慣れた地域から離れ、例えば気候なども全く異なるといった状態に置かれることはありません。
グループホームのデメリット
一方でグループホームのデメリットですが、既に書いたようにそもそもが比較的小規模な施設ですから、これは即ち入居できる人数に限りがあることに他なりません。
入居したいと思ったとしても空きがない可能性が十分にあるわけです。
また、決して終末期にある人が入るわけではありませんので、かなりの長期間にわたって継続的に暮らす人がいることが多いのも事実です。
これらの理由から、希望するときにその施設に入れるとは限らず、待ち時間が発生することが多いのが難点ではあります。
アットホームな雰囲気は基本的にはプラスと考えられますが、一方でどうも自分とは気が合わない人とか顔を合わせるのも嫌な人がいたりするような場合はデメリットになり得ます。
つまりそのような人間関係を無視して生活しようとしても、規模が小さいが故に実現不可能ということもあり得るからです。
先に述べたようにかなり長期間にわたって暮らす人が多いことと考え合わせると、場合によっては苦痛とも言える時間が長く続くかもしれないことは頭に入れておく必要があるでしょう。
たとえ入居時に見学などを十分に行って暮らしやすさに特に問題はないと安心できたとしても、途中で人の入れ替わりが発生するかもしれませんから完璧とは言えません。
もちろんこれは施設とは無関係に一般の生活でもほぼ全く同じことはあるわけですから、特別な欠点ではないかもしれませんが、気にしておくべきところではあります。
また、介護は受けられますが、医師や看護師を初めとする医療関係者が常駐しているとは限りません。
病院やクリニックに入院しているようなものでは決してないということです。
入居時にはそのような医療的支援が必要とされる状態でないことが確認されなければ入らせてもらえないはずですが、年月の経過によって病状が進行したような場合には退去を求められることもあります。
まとめ
言うまでもないことですが費用の面は考えておかなければなりません。
一般のマンションなどと同じく敷金が必要とされることがありますし、部屋の賃貸料や管理費の他、水道光熱費や食費は基本的に実費がかかります。
その他に介護サービス料が計算されることになり、月額合計では20万円を超えてくるようなこともありますので、資金面のことは事前にしっかりと考えておく必要があります。
最終更新日 2025年6月9日 by quasportl