
日本は戦後の貧しい時代を克服し、世界が驚くような経済成長を遂げました。
しかしバブルが崩壊したあと、経済がなかなか回復せず、いつのまにか貧困に苦しむ人たちが出てきているようです。
先進国の中では、日本は貧困者数が決して少なくない国になってしまっているのです。
特にしわ寄せがきているのが子どもたちで、食事がきちんと食べることができなかったり、経済格差が教育格差に反映されてしまうこともしばしばなのです。
目次
貧困の定義
しかし世界に目を向ければ、本当の貧しさや困難を知らないと言われてしまうかもしれません。
世界銀行の定義では、1日1.9ドル未満(日本円で約200円未満)で暮らしている人たちが貧困とされていますが、世界の10人に1人がこの貧困を余儀なくされているという状況です。
食べる物がないだけでなく、きちんと教育を受けることができない状況に置かされている子どもたちも少なくなく、このような子どもたちに対して世界からの支援が必要なのです。
国際連合児童基金とは
貧困の中にある世界の子どもたちを支援するために設立されたのが、国際連合児童基金です。
英語では、「United Nations Children’s Fund」と言いますが、その頭文字をとってユニセフ(UNICEF)と呼ぶほうが愛着がある方もいることでしょう。
国際連合児童基金が設立されたのは、1946年12月11日のことでニューヨークに本部が置かれています。
当時、第二次世界大戦によって世界は荒廃しており、そのような状況の中で世界の国々の子どもたちに緊急の食料を与えたり、健康管理を行う必要が生じました。
そこで緊急に必要な物資を送るなどの支援を行う組織が必要となり設立されたというわけです。
1965年にはノーベル平和賞も受賞しています。
日本の経済成長に大いに貢献してくれたユニセフ
当時の日本は、主要な被援助国の一つでした。
1949年から1964年の15年間にもわたって、脱脂粉乳や医薬品、原綿などを就寝とした援助を受けています。
このような支援の恩恵を受けたことによって、どれほど多くの子どもたちが助かったことでしょう。
また経済成長を遂げる上でも、大きな助けになったに違いありません。
「児童の権利に関する条約」の普及にも努めている
第二次世界大戦後の子どもの緊急支援がひと段落を迎えると、今度は開発途上国の子どもたちや母親に目が向けられるようになっていきます。
これには緊急性があるものもあれば、長期にわたって人道援助や開発援助を行う必要なケースもありました。
そのため、国際連合児童基金は活動範囲を広げるにつれ緊急援助基金から開発機関へと発展し、1953年に現在の名称に変更されたようです。
そして現在は、引き続き開発途上国や戦争・内戦で被害を受けている子どもたちへの支援を行っているのはもちろんですが、特定の地域という見方ではなく、世界のすべての子どもたちを対象として、子どもたちの生存と保護、発展の権利を保護することが、国際連合児童基金の最も大切な任務となっており、その流れの中で、「児童の権利に関する条約」の普及にも努めています。
弱い子どもの立場に立って考えられた子どもたちの権利
「児童の権利に関する条約」には、すべての子どもの命が守られる「生きる権利」や、教育や医療、生活への支援などによる「育つ権利」、暴力や搾取、労働などをさせない「守られる権利」、そして子どもたちの意見が尊重される「参加する権利」などが含まれています。
これらは大人中心の視点ではなく、弱い子どもの立場に立って考えられた子どもたちの権利です。
1989年11月20日に国連総会で採択され、現在は200か国近くの国々が締結しており、日本は1994年5月22日から批准しています。
栄養の知識をきちんと教えること
ところで、国際連合児童基金が歴史を積み重ねてくる中で、考え方の変化も見られます。
特に、物資の援助中心だったこれまでの活動に対して、そもそも生活の自立がなければキリが無い、あるいは状況は一向に改善されないということから、親に対する教育にも力を入れるようになりました。
たとえば、栄養の知識をきちんと教えることです。
栄養の知識があるのとないのとでは、大きな違いであり、このような啓蒙活動は、単に物資を援助すること以上に大きな効果を生み出します。
同じ目的を持って活動している団体組織はたくさんある
このように国際連合児童基金は様々な活動を行ってきましたが、その際には各国の政府や市民団体、その他の国際機関とも密接な協力を行い、活動を続けています。
同じ目的を持って活動している団体組織はたくさんあり、それぞれが力を合わせることにより、恵まれない取り残されてしまった子どもたちや家族、さらには彼らが属する共同体に対して、より一層効果的な援助が可能になります。
日本における活動について
なお日本における活動は、東京都港区高輪に本部を置く公益財団法人日本ユニセフ協会が、世界34に存在している「ユニセフ国内委員会(National Committees)」のうちの1つとして活動を行っています。
またユニセフ東京事務所も日本ユニセフ協会と合同で様々な活動を行っています。
ただし、どちらの団体もユニセフと同一組織ではありません。
まとめ
以上、国際連合児童基金の歴史と使命について振り返ってみました。
参考文献・・・日本ユニセフ 領収書
最終更新日 2025年6月9日 by quasportl